二〇一二年卯月十五日
聲
たとえば海 の底 で
あなたが生 きてるのなら
わたしは二 本 の足 を切 って
魚 になろう
深 みへ堕 ちるほどにあなたが近 づくのなら
果 てない闇 を彷徨 う影 に
なってもいい
艶 やかに漂 うわ たしの陽炎
叶 わない現実 に 溺 れていただけ
あなたはいない
わかっている
わかっている
昇 る 昇 る 太陽 が
わたしの場所 を浄化 する
青 く刻 む刻印 を
温 い温 い風 がさらっていく
たとえばこの言葉 が
あなたに届 くのならば
わたしの声帯 を取 り上 げて
捨 ててもいい
鮮 やかな傷 を失 くした現在 を
何 もかも奪 う あなたの温度 を
求 めていた
求 めていた
幻 でも
消 える 消 える ぬくもりが
わたしの場所 を連 れていく
罰 を拭 うその腕 に
抱 かれながら眠 りにつきたい
昇 る 昇 る 太陽 が
わたしの場所 を浄化 する
罰 を拭 うその腕 に
抱 かれながら眠 りたい
消 える 消 える ぬくもりが
わたしの場所 を連 れていく
青 く刻 む刻印 を
温 い温 い風 がさらっていく
蝕 んでいく 記憶 の破片 わたしを塞 ぐピアスが足 りない
忘 れてしまう ぼやけてしまう あなたの聲 が雑踏 に消 える
蝕 んでいく 抜 け落 ちていく わたしを塞 ぐピアスが足 りない
跡形 もなく 忘 れてしまう あなたの聲 が雑踏 になる
あなたが
わたしは
なってもいい
あなたはいない
わかっている
わかっている
わたしの
たとえばこの
あなたに
わたしの
わたしの
わたしの
わたしの